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熱帯スイレンの越冬法
越冬法
バルブを堀り上げない バルブを堀り上げる
水容器必要 水容器不要 水容器必要 水容器不要
加温する 加温しない 加温する 加温しない

@−1、加温式水槽越冬法(鉢)

@−2、加温式屋内越冬法(2007年バージョン)(鉢)

@−3、加温式屋内越冬法(2008年バージョン)(鉢)

A、無加温式屋内越冬法(鉢)

B、鉢そのまま越冬法

C、加温式屋内越冬法(バルブ)

D、無加温式屋内越冬法(バルブ)

E、スティールウール密閉式越冬法

F、バーミキュライト埋設式越冬法

G、泥団子式越冬法

H−1、乾燥式越冬法

H−2、真空乾燥式越冬法

I、フェルト式越冬法


2005年

私の熱帯スイレンとの付き合いは2005年に栽培した7品種から始まりました。

どれも気に入って購入したのですが(購入費用は結構かかりました。)残念ながらその時の品種で今残っているのはキング・オブ・サイアムただ1種類だけです。 なぜなら、最初の年の越冬に失敗してしまったからです。

屋内には取り込んではいましたが、あまり知識も無く部屋内にバケツを置く場所が無い為、倉庫や離れといった日頃人がいないところに置いていたので何度かの寒波襲来で、 水温が相当下がった(5度以下)からでしょうか、とうとう休眠から目覚めることなく★になってしまいました。

その当時は、越冬についての知識がまったく乏しく、部屋内なら大丈夫だろうと単純に考えていました。

当時、居間などに鉢が入った水バケツを持ち込むことなど家内の許可なしにはできませんでした。 しかたなしに離れに取り込んだのですが、近年暖冬ぎみとはいえ、 シーズン中何度かの寒波がやってきて日ごろ使ってない場所だったので寒さに耐えられなかったようです。そんな苦い経験から、翌年からは温調器とヒーターで12℃以下にならないよう加温管理をするようになりました。 3年目からは品種も増えましたので90cmのらんちゅう水槽を購入して全てまとめて加温管理しています。(たしかにこれなら暖房の無い離れでも安心です。)

しかし、加温管理していても目覚めないものもあります。

これまでの経験から越冬失敗の要因について少し考えてみました。越冬失敗したときの株の主な症状は下記の通りです。


@、休眠から目覚めない。

A、カビなどの雑菌に感染してバルブが腐る。


@のケースでは、熱帯スイレンですから当然寒さには弱く、寒くなると葉を落として暖かくなるまで休眠をします。 熱帯スイレンが安定して休眠する水温は10℃〜12℃と言われています。また、5℃以下にならないように注意するようにうたっている生産者のサイトもあります。 熱帯スイレンはあまりにも低い水温になると休眠が一層深くなり、暖かくなった刺激だけでは休眠打破ができなくなるものがあるようで、NETの掲示板でも2年間休眠した株が動き出したといった報告が時々あります。

水温管理のこつは水温を5度以下にならないようにすることです。また、反対に高すぎると休眠せず成長もできない状態になって株が弱ってしまうと言われていますがこの説に私は少し疑問符を持っています。

冬越し(休眠)は本来植物が持っている種を維持させる為の防衛システムです。干ばつや山火事、洪水といった成長に適さない環境になったとき適する環境になるまで休眠することによって悪い環境をのりきるのです。 それが1年なんか2年なのかはわかりませんが植物に適した環境になれば自然と成長をはじめます。

加温管理する場合、12℃〜-14℃になるよう設定すると良いといわれていますが、市販の観賞魚用温度コントローラーは最低温度が15℃までしかなく12℃〜-14℃に設定することができません。 そこでうちでは、産業用の温調器で温度コントローラーを作って越冬管理しています。(11℃になるとヒーターをONにして14℃でOFFにします。 設定に温度幅があるのは12℃に固定するとON-OFFを繰り返して1日中機器が作動して機器の寿命が下がるのと「かちゃかちゃ」と耳障りだからです。)


Aの雑菌(カビ等)の感染症が原因のケースでよく見られるのは、越冬している鉢の用土表面(バルブの周り)が黒っぽくなってしまうことがあります。 よく見ると、バルブ本体の成長点は白っぽく膜を張ったようになり周辺部は黒いすすのような物が覆っています。 これは私の推測ですがバルブにカビなどが生えて根や薄皮を腐らせて、その残滓が用土の上に落ちて黒く煤けたようになっているのだと思います。

特にバルブが土から飛び出して露出している株にこの症状が出ているようですので、鉢のまま屋内にと取り込んで越冬させる場合はバルブの上に土を被せたりすれば感染予防になるのではないでしょうか。


以前の越冬法といえば、バケツなどに鉢ごと入れて屋内に取り込むことでしたが、最近は色々な越冬方法が試されてきています。熱帯スイレンの冬越しは、適切な温度で感染予防をすれば決して難しいものではないのです。 しかしながら、それが分かっていても目覚めないことも多く、栽培を始めて数年たちますが今でも一番確実な越冬方法は何か、試行錯誤をしているところです。


そこで、越冬法について少し整理をしてみます。



熱帯スイレンの越冬方法


のように、現在、越冬法は大きく分けると「バルブを掘り上げる」か「バルブを掘りあげないか」に大別され、さらに、「水容器が必要」か、「水容器が不要」かに分けられ、 水容器が必要な場合は、「加温する」か「加温しない」かに分けられます。


本などに書かれている一般的な越冬法はA番の鉢ごとバケツ等に入れて屋内に取り込む「無加温式屋内越冬法(鉢)です。 栽培品種が少なく、取り込む場所があればこの方法が一番簡単です。

また、2012年現在の主流はE番のスティールウール密閉式越冬法と泥団子式越冬法です。


Berry's Water Gardenではこれまでに色々な越冬法を試してきました。これまでの経験では「泥団子式越冬法」と「スチールウール密閉式越冬法」は成功率も高くお勧めの越冬法です。

両方式とも鉢からバルブを掘り出して低酸素状態にすることで雑菌の繁殖をおさえ、バルブが感染症にかからないように予防しています。 また、クーラーボックスや発泡スティロールの容器に入れることで温度変化が少ない安定した越冬環境を作ることができます。


泥団子式越冬法はバルブを鉢から掘り出して消毒し泥で包んでビニールで密封してそのままクーラーボックス等に入れて部屋内で越冬させる方式です。


スチールウール密閉式越冬法は用土から掘り出して消毒したバルブをスチールウールと一緒にジャムを入れるガラス瓶に入れて密封しクーラーボックス等に入れて部屋内で越冬させます。


泥団子式越冬法は赤玉土の泥団子にバルブを埋め込んで酸素を遮断して低酸素状態を作りだし、スチールウール密閉式越冬法は水中の酸素がスチールウールと反応して錆びることで人工的に低酸素状態を作り出してカビなどの雑菌の繁殖をおさえ感染を防止します。


2008年

Berry's Water Gardenでは2008年度の越冬で初めてスチールウール密閉式と泥団子式を採用したところ、保管場所がリビングだったこともあり、 著しい気温の低下も無く安定した温度環境を維持できたのが良かったのでしょうか、ほぼ100%近い成功率でした。

その後栽培する品種が増えたのと手間がかからないことから2012年までの3年間はスチールウール方式メインに切り替えてやってきました。

この越冬法の最大のメリットはスペースが少なくてすむ事です。うちでは現在70種近い熱帯スイレンを栽培しています。 それらを全て鉢のまま越冬させるスペースは我が家には残念ながらありません。 泥団子のビニールやガラス瓶なら積み重ねることもできますので、保管容器が小さくて済むのも大きなメリットです。


初年度に越冬の成功率が高かったので、スティールウール密閉式に全幅の信頼を置いて越冬させてきました。しかしながら、このスティールウール密閉式にもいくつか問題点はあることがわかってきました。

数が少ないと越冬ビンのチェックも苦になりませんが、数が多いと頻繁にするわけにもいかず、1ヶ月に1度程度の確認になってしまいます。 順調に越冬できていれば良いのですが、中にはダメになるバルブも出てきます。そうすると、瓶の中で腐ってしまい用水にガスが発生して内圧が上がってしまうのです。 その圧力は相当なもので瓶の蓋が圧力で膨らむぐらいです。そうなる前に時々蓋を開けて圧力を逃がさなければなりません。 その作業が間に合わないと蓋が膨らんだり、蓋の隙間から水が漏れ出して発泡スティロールの箱の中に水がたまってしまいます。圧力が高くなりすぎて越冬BOXの中でガラス瓶が割れてしまったこともありました。 瓶を割るほどの圧力がバルブにかかるとどのような影響があるのか専門家ではないので分りかねますが、少なくても良い影響でないことは予想できます。

これが原因かはわかりませんが1瓶全滅ということも何度か経験しています。

その他にも低酸素にするため、スチールウールを使っていますが密閉瓶の内部ではスチールウールが水に溶け出して溶解酸素と結びついて酸化鉄となり水中に沈殿しますが、 それが空気に触れると赤褐色のさび色になります。
瓶の水を服などに付着させると錆色のしみができてしまいます。ガラス瓶にも錆が付着し越冬で使った後はすぐに洗浄しなくてはなりません。当初は簡単に考えていましたが、 越冬品種が増えると洗浄だけでもけっこう手間がかかります。


そうした中、近年水に浸けない乾燥式やフェルト式越冬法といったこれまでリスクが高いと思われていた越冬法を実践される愛好者の方も現れるようになりました。


実は、前々から水を使わない方式で越冬率が高い方法が無いかと考えていました。乾燥式は宮川花園さんところでも紹介されていますが、バルブを乾燥させて1個ずつジップロックに入れるというものです。

バルブを乾燥させて本当に大丈夫なのかというところに大きな不安があったのと、うちのように数が多いと結構手間がかかることもあり、これまで採用は控えてきました。

また、フェルト式越冬法についてもスティールウール密閉式に比べ優れているとは思えなかったのでこれまで実践することはしませんでした。


2012年

2012年の冬、Berry's Water Gardenでは定番のスチールウール密閉式、加温式屋内越冬法(鉢)、加温式屋内越冬法(バルブ)に加えて「真空乾燥式」、「バーミュキュライト埋設式」、 そして前から試したいと思っていた「鉢そのまま屋内越冬法」の計6つの方式での越冬実験を行いました。


従来の方法は越冬に水を使いますが、新たに試す3方式は水は不要です。越冬に水が必要なくなれば場所の制約が無くなり地震で水鉢が倒れたりして漏水事故になるということも防ぐことができます。

新しい3つの越冬法ですが、結果は思いがけないものとなりました。真空乾燥式の成功率は50%ほどしかなく、当初もっと成功率が高いのではと期待していましたが残念な結果になりました。 成功率が低かった原因ですが、小さなバルブは乾燥に耐えられなかったようで、ほとんどがからからに乾燥してダメになっていました。

「鉢そのまま屋内越冬法」は水バケツが必要ないので保管場所を選びません。バルブを堀り上げないので休眠が浅くても根を痛める危険性が少なく安定した越冬が行えるようです。 栽培する品種が少ない人や初心者の方にはお勧めの方式です。


今回一番の収穫は、「カビで失敗する可能性が大きい。」と言われてこれまで怖くて試していなかったバーミュキュライト埋設式越冬法が思いのほか成功率が高く、実験体20セット中バルブが腐ったのは1検体の1個だけでした。

心配したカビですが2検体のタッパーでアオカビの発生が認められましたが、バーミュキュライトの表面にひび割れが見受けられそれに沿って青カビが発生していました。 カビは表面だけで内部の発生は認められませんでした。湿らせたバーミュキュライトは完全にバルブを包んで空気との接触を防いでいました。

また、他の越冬法に比べ、私が一番驚いたのは新芽が伸びているものも多く、その全てが太く立派な芽だったことです。 他の越冬法では針先のような細い芽が出ていることが多いのですがこの越冬法では太く立派な新芽が出るようです。この新芽なら堀り出して直ぐにでも植付可能です。

今回保存容器には小型のタッパーを使いました。浅型を使ったので深さが足りず、バルブを横倒しで埋め込んだ為、新芽は横倒しで成長してしまいました。 次からはもう少し深さがあるBOXでバルブを立てて埋設すれば上に伸びてくれることでしょう。

これまで、食わず嫌いというわけではありませんが、バーミュキュライト埋設式越冬法に関する情報が少なく、カビ感染で失敗する可能性があるというだけでこの方式を試すことを避けてきました。

こん回、自分で実験してみて完全な思い込みだったことがわかりました。確かに2個のタッパーで青カビが発生しましたが空気に接している表面だけで内部には感染が及んでいませんでした。

1個は表面がひび割れてその割れ目に沿って青カビが発生していました、もうひとつにはひび割れは見つかりませんでしたが、バルブを埋め込む際に空気を抜くために手袋をした手でバーミュキュライトを押し込むのですが、 その際に有機物が付着していたのかもしれません。

現在判明している越冬失敗は、実験固体20セット(19品種 49個)中"N.Midnight Serenade"の1個だけで、バルブが軟化して腐っていましたがバルブ自体にはカビは認められませんでした。 (越冬失敗原因は不明)全てのバルブが目覚めたわけではないので最終的には確定していませんが、現状では越冬成功率は98%になります。

この越冬率は私にとっても大きな驚きでした。今回実験するにあたり、実験の主役は真空乾燥法だと考えていましたが、残念ながら真空乾燥法の方は期待した結果が得られませんでした。

しかしながら、瓢箪から駒とはこのことで、期待していなかったバーミュキュライト埋設式越冬法がこのような結果を残し、スティールウール密閉式越冬法に代わる有力な越冬法だということがわかりました。

カビ感染防止の為の殺菌(加熱処理等)手順の見直しや、バーミュキュライト表面やタッパーの蓋の裏をアルコール消毒するといった改善は必要ですが、 私が目指すところの「水を使わない」越冬法の完成に一歩近づくことができたと思っています。


これら3つの越冬法に共通する点は水を使わないということです。水に浸す必要がなければ漏水の危険性や越冬スペースの確保といった制約がなくなります。


熱帯睡蓮がメジャーにならない原因のひとつが越冬作業だと言われています。誰でも簡単に越冬させることができれば睡蓮の愛好者ももっと増えると思います。 そうなるよう、Berry's Water Gardenでは簡単で確実な越冬法をこれからも紹介していこうと考えています。



@-1
名称加温式屋内越冬法(20℃〜26℃)
特徴

(水槽の水温を常に23-26℃に加温して休眠させずに越冬させる方法)

この方式は睡蓮に休眠をさせず温室栽培のように周年栽培が可能。

項目 作業手順加温水槽
イメージ 加温式水槽越冬法 加温式水槽越冬法
内容

温調器とヒーターを組み合わせて水槽を加温し熱帯スイレンを栽培します。水上には温室の代わりとなるアクリル製カバーを設けています。

ムカゴ種を中心に小型の60型カラーポットに植えています。


@-2
名称加温式屋内越冬法(12℃〜14℃)[2007年バージョン]
特徴

(水槽などに鉢ごと入れて観賞魚用のヒーターで加温管理する方法)

寒い地域では有効な管理方法です。水温の極端な低下を防止できるので越冬の成功率が高くなります。デメリットとして電気代がかかります。

Berry's Water Gardenでは2006年以来この方法を採用しています。ヒーターと温調器を使い加温して11度を下回らないよう約12度〜14度を保つようにしています。

項目 作業手順 水温コントローラー 水温コントローラーSET後
イメージ 加温式屋内越冬法(2007年バージョン) 水温コントローラー 水温コントローラーSET後
内容

@、鉢を容器(睡蓮鉢等)から取り出す。(ここで鉢のコケや泥を取り除く。)

A、屋内に設置した水槽に鉢を沈めセンサーとヒーターで温度管理を行う(12℃〜14℃)

水温コントローラー作動状況試験中

水槽に水温コントローラーをSETしました。


@-3
名称加温式屋内越冬法(12℃〜14℃)[2008年バージョン]
特徴

(水槽などに鉢ごと入れて観賞魚用のヒーターで加温管理する方法 2008年バージョン)

2007年まで採用していた方式ではバルブの上部が水中に出ていたのでカビなどに感染しやすくなっていたようで加温管理していてもダメになるスイレンもいくつか有りましたので、泥団子方式を参考にバルブの環境を低酸素状態にして感染予防ができるのではないかと考えバルブに土を被せて埋めるようにしました。

葉と根を切って根鉢を小さくすることでワンサイズ小さな容器に植え替えられ収納数を増やすことが可能になりました。 ただし注意しなければならないのは完全に休眠状態に入った株を対象に行う場合は良いのですが、遅くまで開花していた株を越冬の為取り込むときにこの処置(強制休眠)を行うと越冬の成功率が悪くなります。

2008年度にこの処置をした数株の熱帯スイレンは残念ながら目覚めなかったものやバルブが腐敗して枯れたものが出ました。十分に寒さに当てて休眠状態になってからでないとこの処理はしない方が良いようです。

項目 作業手順植付容器(5号鉢)消毒
イメージ 作業手順 植付容器(5号鉢) 消毒
内容

@、スイレン鉢より取り出した鉢から用土ごと株を取り出す。

A、用土の周りを切り取って小さくする。

B、1〜2サイズ小さな鉢に植え替えてオーソサイドで消毒し、バルブを用土で覆う。

C、屋内に設置した水槽に鉢を沈めてセンサーとヒーターで温度管理を行う。(12℃〜14℃)

地上部の葉が枯れてなくなったら水鉢から鉢を取り出します。

鉢ごとオーソサイドに浸して消毒をします。

項目 根鉢 用土のトリミング(下部) 用土のトリミング(周囲) 用土のトリミング後
イメージ2 根鉢 用土のトリミング(下部) 用土のトリミング(周囲) 用土のトリミング後
内容

鉢から根鉢をはずします。

根鉢の下1/3を切り取ります。(バルブの大きさに注意しバルブを傷つけないようにする。)

周りの用土を切り取ります。

用土のトリミング処理終了後

項目 植え替え(4号鉢) 越冬用加温水槽1 越冬用加温水槽1  
イメージ2 植え替え(4号鉢) 越冬用加温水槽1 越冬用加温水槽1  
内容

小さくなっ根鉢を鉢に戻し新しい土で覆う

越冬処理が終わったスイレン(上部から)

越冬処理が終わったスイレン

 


A
名称無加温式屋内越冬法
特徴

(鉢ごと水に沈めて屋内に取り込む方法)

この方式は熱帯スイレン冬越しのオーソドックスな方法です。 鉢ごとバケツや水槽に入れて部屋内に取り込んで管理します。 今の住宅では部屋の気温が氷点下近くになることは無いのでほとんどの方がこの方法で越冬されていると思いますが、温度管理していないので寒い地域では失敗も多いようです。 また、保管にスペースが必要ですので、鉢を蓋付きバケツに入れてトイレに置いたり、冷蔵庫の上に置いたりされてる方もおられます。

項目 作業手順    
イメージ 無加温式屋内越冬法    
内容

@、鉢を容器から取り出す。

A、バケツや水槽に水を入れてスイレン鉢を沈め屋内に取り込む。

 

 


B
名称鉢そのまま屋内式越冬法
特徴

(水バケツを使わず鉢をビニール袋で密閉して乾燥しないようして越冬させる方法。)

この方法は無加温式屋内越冬法の水なしバージョンです。鉢を水鉢から出して上部の用土を取り除き、新しい赤玉土で鉢上部を覆います。それをビニール袋に入れて乾燥しないように密閉し、屋内に取り込みます。

水バケツに鉢を入れて屋内に取り込む方式は置き場所と、地震などで水がこぼれる危険性が高く、家人の理解がなければ拒否られることも少なくありません。 それに比べこの方法は、水に浸けないので本棚等どこでも保管することができます。泥団子式越冬法に近い方法ですが、バルブを掘り出さないので植物に対するダメージは少なく栽培する品種が少ない人や初心者の人にはお勧めの方式です。

項目 作業手順鉢上げ用土の除去
イメージ 鉢そのまま屋内式越冬法 鉢上げ 用土の除去
内容

@、容器を水鉢から取り出す。

A、バルブの上部の土を取り除く。

B、赤玉土を練ってバルブを用土で覆う。

C、1個ずつビニール袋に入れ乾燥しないよう口を縛り密閉する

D、屋内のリビングの棚や押入れの衣装ケース等に入れて春まで保管する。

容器を水鉢から取り出す。 バルブの上部の土を取り除く。
項目 覆土パッキング密閉保管
イメージ2 覆土 パッキング 密閉 保管
内容

赤玉土を練って球根を用土で覆う。

1個ずつビニール袋に入れる。

空気を抜いて口を縛って閉じる。

温度変化の少ない容器に入れて来年の5月まで保存する。

項目 越冬結果   
イメージ3 越冬結果      
内容

用土から芽が成長している。

     

C
名称加温式屋内越冬法(バルブ)
特徴

(バルブを掘りあげて消毒後キッチンネットに入れて水槽に入れて観賞魚用のヒーターで12℃〜14℃にて加温管理する方法。)

項目 作業手順  
イメージ 加温式屋内越冬法(バルブ)    
内容

@、バルブを掘り出し根を切って土を洗い流し、オーソサイドにつけて消毒する。

A、キッチンネットにバルブを入れて名札をつける。

B、加温した水槽にネットを入れて12℃〜14℃で加温管理する。

 

 


D
名称無加温式屋内越冬法(バルブ)
特徴

(バルブを掘りあげて消毒後キッチンネットに入れて水槽に入れて窓際等の暖かい場所において越冬する方法。)

夜間は冷えるのでできれば発泡スティロール等で保温した方が良い。

項目 作業手順  
イメージ 無加温式屋内越冬法(バルブ)    
内容

@、バルブを掘り出し根を切って土を洗い流し、オーソサイドにつけて消毒する。

A、キッチンネットにバルブを入れて名札をつける。

B、窓際等暖かい場所に置いた水槽にネットを入れて管理する。

 

 


E
名称スティールウール密封式越冬法
特徴

(バルブを掘りあげてたジャム瓶などのガラス容器に水とスチールウールを入れて密封しクーラーボックスに入れて屋内に取り込む方法)

スチールウールの鉄分が水中にとけ込んでいる酸素と反応してスチールウールが錆びることで瓶内の酸素濃度が低下して保存水が低酸素状態になることでカビなどの雑菌の繁殖が抑えられバルブへの感染を防止していると思われます。

また、クーラーボックスや発泡スチロールの箱に入れてリビングなどの冬でも暖かいところで保管することで保存瓶内の温度変化が少なくなり、安定した温度環境での越冬ができるようです。

(中でも最大のメリットが瓶で保管するのでクーラーボックスに入れるときでも積み重ねることが可能になり多くの熱帯スイレンを一度に越冬させることが可能です。) しいて注意するとすれば、同じ瓶に同一種を入れる場合は瓶の表書きに品種名を書けばよいのですが多品種を同じ瓶に一緒にする場合はキッチンネット等に分けて名前を付けておかないと後から分からなくなって困ります。(笑)

保存中は中身が見えますので時々クーラーボックスを開けて保存水の状態を確認してください。通常は透明か少し鉄さび色の赤っぽい水ですが、もしも濁っていたりすればバルブが痛んでいる可能性がありますので一度取り出して確認してください。 バルブに別段問題がなければ新しい水に取り替えてそのまま春まで保管してください。

春になって瓶から取り出すタイミングですが、最低気温が10度を超えるようになったら瓶ごと外に出して暖かいところに置いておくと自然に芽がでてきます。 そのままにしていると瓶の中で育ってしまいますので瓶から取り出してバケツや水槽に入れておくと葉や根が育ってきますので新しい鉢に植えつけててください。 (多品種のバルブを瓶から移す場合はキッチンネット等を使って品種別に分けるようにすると後で品種間違いがおこりません。)

項目 作業手順 越冬用資材 越冬作業終了
イメージ1 スティールウール密封式越冬法 越冬用資材 越冬作業終了
内容

@、バルブを掘り出し根を切って土を洗い流し、オーソサイドにつけて消毒する。

A、密封できるガラス容器(ジャム瓶等)にバルブとスティールウールを入れる。

B、ガラス容器に水を入れてふたをして密封する。(バケツの中に容器を入れてふたをすると空気が入らない。)

C、クーラーボックス等に入れて部屋内に保管する。

スティールウール密封式越冬法に使う資材です。100円ショップやHCで調達できます。

ガラス瓶に詰め終わったスイレンたち

項目 越冬中のティナのバルブ 越冬中のクーラーボックスの中
イメージ2 越冬中のティナのバルブ 越冬中のクーラーボックスの中
内容

少し芽が伸びてますがこのままでかまいません。

越冬中は時々ボックスを開けて様子を確認します。


F
名称バーミキュライト埋設式越冬法
特徴

(バルブを掘りあげて湿ったバーミキュライトに埋め込み屋内に取り込む方法)

この方式は場所をとらないのがメリットなのですが、空気に触れるのでカビが生えてバルブを腐らせてしまうことも多いとの情報を信じて採用は見送っていましたが、 水なし越冬法の効果確認の一環で2012年の冬越しに於いてこの方法を試してみたところ、成功率は他の越冬法とほとんど大差なく、有効な越冬法であることが判明しました。 注意点としてはバルブとバーミキュライトは事前に殺菌して、バーミキュライトをタッパーに詰める際にはできるだけ空気を抜くとバルブにカビが生えず越冬させることができます。

項目 作業手順バルブの殺菌バーミキュライトの殺菌
イメージ バーミキュライト埋設式越冬法 バルブの殺菌 バーミキュライトの殺菌
内容

@、バルブを掘り出し根を切って土を洗い流し、オーソサイドにつけいて消毒する

A、タッパー等の容器に水で濡らしたパーミキュライトを入れて電子レンジで加熱殺菌し、冷ましてからバルブを埋め込み室内で管理する

掘り出したバルブをオーソサイドで殺菌します。

バーミキュライトを袋に入れて水を加えて湿らせ電子レンジで殺菌します。

項目 冷却 バルブの埋め込み 覆土 パッキング
イメージ2 冷却 バルブの埋め込み パッキング イメージ2
内容

そのままでは温度が高く使えないのでしばらく冷まします。

タッパーに殺菌したバーミキュライトを入れてバルブを間隔をあけて埋め込みます。

上からもバーミキュライトを被せ手で圧縮し空気を抜きます。

上蓋を被せて品種名をネームランドで作成し貼り付けます。

項目 保存 青カビ 越冬明け@ 越冬明けA
イメージ3 保存 青カビ 越冬明け@1 越冬明けA
内容

発泡スティロールの保温箱に入れて屋内に取り込みます。

越冬明けて確認したところ1個のタッパーでバーミキュライトの割れ目に沿って青カビが発生していました。カビは表面だけで内部のバルブにはまったく影響はありません。

春になりバルブを掘り出したところ6個全てで太い芽が出ているのを確認しました。このまま植え付けできる状態です。

バーミキュライトの中から新芽が伸びています。


G
名称泥団子式越冬法
特徴

(バルブを掘りあげて赤玉土の泥だんごに包みクーラーボックスに入れて屋内に取り込む方法)

この方式はスティールウール密封式越冬法と同様に、バルブを赤玉土の泥団子に包んで外気を遮断し低酸素状態を保つことで雑菌の感染を予防することができます。 また、クーラーボックス等に入れることで温度変化の少ない安定した環境ででの越冬が可能です。 (リビングに鉢を入れたバケツを持ち込むとほぼ100%家族(嫁)の反対にあいますが、クーラーボックスなら部屋の片隅に置くことは許してくれます。 笑 ) 作業手順ですが鉢からバルブを掘り出したらオーソサイド等の殺菌薬で消毒します。(オーソサイドが無ければそのままきれいな水で洗ってもOK) また、泥団子に使う土(赤玉土)ですが、必ず新しい物を使ってください。(古い土だと肥料分が残っていたり雑菌がついていますので感染の危険があります。) 赤玉土を水で練って用土を作ったらビニール袋に入れて俵状になるよう袋をかるくたたくようにしてまとめます。その際中の空気をできるだけ取るようにしてください。 泥団子の大きさですが埋め込むバルブの数や大きさで変わりますので色々試してみてください。用土がまとまったらその中にバルブを押し込んで再び形を整えて泥団子の出来上がりです。 あとは、袋に名前のシールを貼るかマジックで名前を書いて袋の口を輪ゴムで縛って完成です。ビニール袋1枚では露を持つことがあるのでうちでは袋を2重にしています。 このまま、他の泥団子やガラス瓶と一緒にクーラーボックス等に入れて春まで保管しておきます。(ガラス瓶と違いますので保管中に中の状態を確認することはできません。)

項目 作業手順 越冬中の泥団子 春、泥団子を割った状態
イメージ 泥団子式越冬法 越冬中の泥団子 春、泥団子を割った状態
内容

@、バルブを掘り出し根を切って土を洗い流し、オーソサイドにつけて消毒する。

A、ビニール袋に新しく練った土(赤玉土)を入れてバルブを埋め込む。

B、空気を出してビニール袋を密閉する。

C、クーラーボックス等に入れて部屋内に保管する。

越冬中は時々クーラーボックスを開けて確認します。その際に注意することは泥団子を強く握ったりしないでください。 特に泥団子は柔らかいので春暖かくなってからは中で芽が出ていることがあるので芽を折らないように注意が必要です。

ビニール袋から泥団子を取り出して中から熱帯スイレンのバルブを取り出します。小さなバルブもあるので取り忘れに注意してください。


H−1
名称乾燥式越冬法
特徴

(バルブを掘りあげて消毒後陰干しにて乾燥させ、ジップロックに入れて発砲スチロール容器かクーラーボックス等に収め屋内に取り込む方法。)

宮川花園でも推奨されている方式ですが、うちではまだ試したことがありません。真空乾燥法の実験から判断すると泥団子式やスティールウール密閉式の方が越冬成功率は高いと思われます。

項目 作業手順  
イメージ 乾燥式越冬法    
内容

@、バルブを掘り出し根を切って土を洗い流し、オーソサイドにつけて消毒する。

A、しばらく陰干しして乾燥させる。

B、ジップロックに入れて封をし密閉知る。

C、クーラーボックス等に入れて部屋内に置いておく。

 

 


H−2
名称真空乾燥式越冬法
特徴

(バルブを掘りあげて消毒後陰干しにて乾燥させ、シーラーで真空パックして発砲スチロール容器かクーラーボックス等に収め屋内に取り込む方法。)

乾燥式越冬法だとバルブ1個づつジップロックに分けなくてはならないのでまとめてできる方法を自分なりに考えた結果、シーラーで真空パックする方法を考案しました。

2012年の越冬で初めて試みた真空乾燥式越冬法ですが、成功率は5割程度(総バブル数あたり)でした。

また、当初、しっかり乾燥させていたので水分が出ることは想定していませんでしたが、多くの真空パックに白く湿気ている物が見受けられ、白いカビが生えていました。

一つ一つ袋に入れれば、カビを生えても洗浄して乾燥しなおすことも可能ですが、真空パックだとそういうわけにはいきません。水分が出ていることから、 真空パックする場合はティシュ等と一緒にパックして吸湿させることも必要かもしれません。

また、今回採用した「数個まとめて真空パックする方式」は、中の1個が腐ってしまった場合湿気とガスで他のバルブにも影響を及ぼしたと思われる例も見受けられたので、 一緒にパックするのは避けたほうが良さそうです。一緒にパックする場合はバルブから水分が出てくることを想定してティッシュやシリカゲル、等吸湿材を一緒にパックすると効果がありそうです。

越冬の成否ですが、他の越冬法と同じように芽が出ていれば容易に判断できますが、完全に乾いて活動を休止しているので外観を見ただけでは判断ができません。 判断の方法は水に入れてみてバルブが沈めば生きている可能性が高く、横倒しで浮く場合は中身も乾いているのでダメになっています。 成長点を上にして浮く場合はバルブの周りが乾燥しているだけで時間が経てば沈んでいくのでとりあえず成功組といえます。最終的は成否は芽が出なければ判断できません。

乾燥法は水を使わないということでは私の目指す理想的な越冬法なのですが、2012年の越冬実験では成功率が50%ということでスティールウール密閉式越冬法に比べると見劣りする結果となりました。

特に小さなサイズのバルブはほとんどがカラカラに乾燥していましたので、この越冬法に適したバルブサイズは直径20mm以上は必要だと思われます。

結論としては余剰が多ければ試す価値はありますが、そうでなければあまりお勧めはできない方式です。

項目 作業手順バルブの殺菌乾燥
イメージ 乾燥式越冬法 バルブの殺菌 乾燥
内容

@、バルブを掘り出し根を切って土を洗い流し、オーソサイドにつけて消毒する。

A、しばらく陰干しして乾燥させる。

B、ジップロックに入れて封をし密閉知る。

C、クーラーボックス等に入れて部屋内に置いておく。

掘り出したバルブをオーソサイドで殺菌する。

バルブを数日間かけて完全に乾燥させる。

項目 真空パック保存不具合@不具合A
イメージ2 真空パック 保存 不具合@ 不具合A
内容

バルブをシラーで真空パックする。

発泡スティロール等の保温できるBOXに入れて越冬保存する。

パック内が結露している。

パック内が結露している。所々白いカビが発生している。

項目 越冬結果@越冬結果A  
イメージ3 越冬結果@ 越冬結果A    
内容

水に入れて沈むバルブは越冬成功。

水に入れて横倒しで浮くものは越冬できなかったバルブです。成長点を上にして浮いているものは大丈夫そうです。

   

I
名称フェルト式越冬法
特徴

(バルブを掘りあげて消毒後、濡れたフェルトに包んでジップロックに入れて発砲スチロール容器かクーラーボックス等に収め屋内に取り込む方法。)

他のスイレン愛好家の話を聞くと、越冬率は他の越冬法とさほど変わらないそうです。また、この方式で越冬させたバルブはフェルトで包んだままでも2〜3年休眠保存が可能だそうです。

Berry's Water Gardenでは2013年に初めてこの方式での越冬を計画しています。

項目 作業手順フェルト材料 
イメージ フェルト式越冬法 フェルト材料  
内容

@、バルブを掘り出し根を切って土を洗い流し、オーソサイドにつけて消毒する。

A、濡らしたフェルトに包む。

B、フェルトで包んだバルブを1ずつジップロックに入れて封をし密閉する。

C、クーラーボックス等に入れて部屋内に置いて越冬させる。

材料のフェルト(大判から切り分け)

 

項目 休眠芽   
イメージ2 休眠芽      
内容

フェルト式越冬法の凄いところは、フェルトで包んだまま数年は休眠させることができるところです。 写真は写真家の加藤宣幸氏から提供いただいた写真です。3年目のブラックプリンスだそうで、写真のような芽が出てくれば安定した休眠になるそうです。 ただし、年々バルブが細ってくるそうで、いつまでも休眠したままにはできないそうです。

バーミキュライト埋設式越冬法の時に出る芽に少し似ています。